金勝寺は733年聖武天皇の勅願で平城京の鬼門を守る寺として建立され
大菩提寺と称されました。8世紀中ごろには25別院を総括する興福寺の山岳道場として
金勝山の全山に大小の伽藍が建立され、栄えていました。
しかし、天文年間の火災で全山灰燼に帰してしまい、元禄年間に再建されたものの
仮堂のままで、明治になってからは無禄の寺となったようです。
古寺の佇まいで、苔むした境内は紅葉も華やかさはなく、侘び寂び、幽玄の世界を
感じられます。奈良から信楽を経て、大鳥居からの旧参道沿いには樹齢
800余年の良弁杉や震岩(ゆるぎ
いわ)伝説のある大石が残っており、
近隣の山中には多くの石仏や末寺、
往時の寺院跡が残っていました。
山頂に近い馬頭観音堂のある
向こうに琵琶湖、比良山系が
遠望され北方には三上山が見下ろす
ように遠望されます。
走井林道を下山すると、ここでは
紅葉林が秋の日差しを一杯浴びて
色鮮やかに輝いていました。(ふ)